地学好き、海洋科学好きにはこたえられない海と火山の聖地、伊豆大島。
サイエンスに興味はなくても、紺碧の海原、ワイルドな火山、ぴちぴちの海鮮料理に抜けるような青空、、、インドア派もアウトドア派も100パーセント満足できる魅惑のジオパークです。
面積91平方キロメートル、海岸線長50キロの島内には、ダイナミックで風光明媚な景観が広がり、同じ日本国内とは思えないほど。
どこが見どころ……というよりは、大島そのものが観光スポット。面積91㎞平方メートル、海岸線長50キロほどの島内には、どこを見渡してもダイナミックかつ風光明媚な景観が広がり、同じ日本国内とは思えないほど。
目の前には大海原、背後には火山、ちょっと首をひねれば、海原の向こうに富士山が見えて、運がよければウミガメにも出会えてしまう。
伊豆大島そのものが観光スポットと言えましょう。
沖縄は遠いけど、東京-伊豆大島なら2時間ほどの行程です。
(東京・竹芝ターミナル港から高速ジェット便にて)
旅行費も、大型フェリーの二等席なら4570円(ネットで購入すれば、15~20%の割引あり)で、とってもリーズナブル。
しかも、東京を23時に出港すれば、大島には翌朝5時に到着するため、十分に休日が取れない人でも、金曜の夜に乗船→日曜夕方までたっぷり遊ぶことが可能です。
関西なら、熱海港が便利です。
私のスケジュールは、
7:18 京都駅 → 9:58 熱海駅(途中、名古屋にて新幹線を乗り換え)
11:05 出航 → 11:50 大島着
でした。
※ 詳しくは、東海汽船ホームページにて。
伊豆大島 短期滞在のコツ(夏期・海水浴)
そんな素敵な伊豆大島の何が問題かといえば、車なしの移動です。
全周たかだか50㎞の離島で、それほど大変? と思われるかもしれません。
しかし、地図を見れば、一目瞭然。
島の中央には三原山がどーんとそびえ立ち、主要道路は『大島一周道路』しかありません。
島の東西南北を縦横に結ぶ平坦なバイパスは存在せず、東西を横断する唯一の車道も三原山を通過する為、日中はともかく、夕刻から夜間にかけて、一般人が徒歩や自転車で横断するのは不可能なんですね。
現地でレンタカーを借りればいいですが、車がない場合、全面的に公共の交通機関(バスかタクシー)に頼ることになります。
しかし、伊豆大島の公共バスとタクシーは本数が少ない上に、料金も割高です。
タクシーも、都会のように、何十台も走っていません。
大島バスの運賃表を見れば一目瞭然ですが、家族四人の場合、バス代だけで片道2000円以上になることがあります。(三原山に行けば、さらに割高)
タクシーを使えば、さらに数千円。
要領が悪いと、一日の交通費だけで1万円を超えます。
4人乗り軽ワゴン車のレンタル料(モービルレンタカー大島店)が一日3000円に比べると、交通費だけでも大変な負担です。
また、島の東部から南にかけては、裏砂漠(公式ページ参照)や断崖絶壁が広がり、南東部の波浮港を除けば、これといった集落もありません。
バスの運行も時期と路線によっては一日三本だけ(大島バス・大砂漠ライン)、12~13時には運行が終了するので、時間に間に合わなければ、『帰りのバスがない』という絶望的な状況に陥ります。
タクシーの運転手さんの話では、タクシー会社は複数あっても、何十台も島内を走っているわけではなく、特に荒天時は奪い合いになるとか。
皆が皆、カーフェリーで自車を持ちこんだり(神新汽船(下田発着便のみ)、都合よくレンタカーやレンタルバイクを借りられるわけではないので、ここでは海水浴を中心に、車がない旅行者でも気軽に楽しめる短期滞在のコツを紹介します。
遊びの目的と宿泊地を絞り込めば、車なしでも十分に堪能できますので、ぜひご参照下さい。
伊豆大島は移動が大変
公共のバス・タクシーが乏しい(しかも運賃が高い)
伊豆大島の魅力は、なんと言っても美しい海。
夏期に訪れるなら、海水浴、シュノーケリング、ダイビングがおすすめです。
しかしながら、伊豆大島には魅力的な海水浴場が方々にあり、初心者には、どこをどう回ればいいのか、見当もつきません。
また、Google Mapで位置確認できても、どうやって目的地にアクセスすればいいのか、バスの時刻表を眺めて途方に暮れることもあるでしょう。
車がない場合、「どこの海水浴場で遊ぶか」に重点を置いて宿泊先を選び、移動を最小限に抑えた旅程を組まなければなりません。
何も考えずに宿泊先を決めてしまうと、移動に時間と労力を取られますし、下手すれば、暗がりの海岸で立ち往生することになります。
たとえば、北端の岡田港周辺に滞在して、南東部のトウシキ海岸で遊ぼうと計画しても、たかが20㎞の道程が思うように移動できません。バス代やタクシー代に往復数万円を払ってもいいなら別ですが、そのタクシーも必ずつかまるとは限りません。
あそこも、ここも、行ってみたいけれど、たかが数㎞の距離が思うように移動できない。
それが大島観光の最大のネックなのです。
たかが数㎞ぐらい、徒歩か自転車で移動しろよ! と思っている皆さん。
後述までしっかり読んで下さい。
私もそう思っていました。
地元民のアドバイスがなければ、夕闇の中、急勾配の真ん中でレンタサイクルを押しながら、途方に暮れていたと思います。(ちなみに、うちの家族は経験豊富なアウトドア一家です)。
そんな訳で、伊豆大島の旅程を組む時は、どんな遊びがしたいのか、メンバーの体力や経験値はどうか、しっかり把握した上で場所を選定しましょう。
海水浴場を選ぶポイント
1. 目的(ちゃぷちゃぷ泳ぐ、シュノーケル、磯遊び、砂浜でのんびり)
2. 人数構成 (子ども連れ、カップル、大人のグループ、学童の合宿)
3. 各人の水泳能力およびアウトドア経験 (初心者ばかり、ベテラン含む、アウトドアは苦手、人数が多くレベルもまちまち)
4. 滞在時間 (午前に海水浴、午後からトレッキング)
5. 食糧・飲料水の確保 (自炊で弁当作りが可能、宿泊先や海水浴場の近くに食糧や飲料水を買う場所がある)
※ 夏場は熱中症の恐れがある為、飲料水の確保は非常に重要です。車がない場合、各人が持ち運べる水分量も限られますし、どこの海水浴場も近くに飲食店や自動販売機があるわけではないので、特に子連れは注意が必要です。
伊豆大島の海水浴場
伊豆大島の海水浴場は、大きくわけて、北側・南側の二種類あります。
観光サイトで紹介される有名どころといえば、次の五カ所です。
おすすめ海水浴場
トウシキ遊泳場 (島の南東)
溶岩に囲まれたプール状の海岸で、透明度の高いシュノーケル・スポット。
いろんな魚に出会える伝説的な名所。
海が穏やかであれば、子どもでも遊べるが、険しい岩場なので経験値の高い人向き。
日の出浜 (島の北側)
消波ブロックに守られたファミリー向けの海水浴場。岸辺はコンクリートで整備されており、日よけの屋根もある。
砂浜、磯場、両方楽しめる。岡田港のすぐ側。近くに飲食店、シャワーあり。
秋の浜遊泳場 (島の北側)
手製のジャンプ台があるシュノーケル向けのスポット。深度は数メートルあり、ダイビングに訪れる人も多い。
ただし、日の出浜のような護岸設備は無い為、レジャーマットを広げて、のんびり……という環境ではない。
近くに商店や飲食店もないので、弁当と飲料水の持参は必須。
子どもも遊べるが、水泳能力と経験値が必要。
野田浜 (島の北西部)
筆者は実際に訪れていない為、地図や口コミ情報になるが、砂浜と磯が程よく広がるきれいな海岸。
近くにホテルや集落があり、気分的には楽。
サンセットパームラインの終点でもあり、サイクリングも同時に楽しめる。景観も素晴らしい。
少し足をのばせば、『農地物直販所 ぶらっとハウス』にも遊びに行ける(1.3㎞)。
弘法海水浴場 (島の西側)
元町港から歩いて10分ほど。
ファミリー向けの大きな砂浜海岸で、飲食店、シャワーあり。
元町に戻れば、飲食店やスーパーが建ち並び、もう少し先には公共温泉『元町浜の湯』『愛らんどセンター 御神火温泉(Google Map)』もあり。
刺激は少ないが、子連れで遊ぶなら最適。
ロケーション(Google MAP)
全体的なロケーションはこちらの地図でご確認下さい。
「拡大地図を表示」をクリックして、少しフォーカスを拡大すると、それぞれの海水浴場のポイントが表示されるはずです。
宿泊先の選び方と大島ライフの心得
車がない場合、『北から南』『東から西』に縦横するような移動は極力避けること。
どうしても希望のエリアに宿泊がとれない場合は、残念ですが、遊び場を変更しましょう。
交通費に1万円以上使う覚悟があれば別ですが、「絶対に、ここに行きたい!」で強行突破すると、行ったはいいが帰れない・・ということになります。
またGoogle MAPを眺めて、「車で20分、12キロほどの道程なら、自転車で行けるかも」と思うかもしれませんが、甘いです。
伊豆大島は火山島なので、非常に勾配のきつい箇所が多く、地元民でも「二度と自転車で走りたくない」と仰るほど。
比較的楽に移動できるのは、島西部のパームツリーラインぐらいで、歩くにしても、自転車にしても、相当に負荷がかかります。子ども連れなら尚更です。
バスを利用して、要領よく移動する人もあるかもしれませんが、万一、乗り損ねた場合。あるいは、雨天や強風に見舞われた場合。タクシーもつかまらず、重い荷物を抱えて、途方に暮れる恐れがあります。
私も台風接近の前夜に元町港で食事して、まだ18時半だから、タクシーぐらいつかまるだろうと思っていたら、電話にも出てもらえない。
風はどんどん強くなるわ、雨はぱらつくわで、顔面蒼白だったのですが、家人が「サンセットパームラインの距離なら歩ける」と断言したので、私も歩いて宿泊先に戻る決心がつきました。ちなみに歩いたのは、海沿いのサイクリングロードではなく、その内側を走る、第二の車道です。
幸い、うちの子(14歳と12歳)はアウトドアに馴れているので、風がヒュウヒュウと吹きすさぶ闇夜の中、約3.5㎞の道程を黙々と歩いて、45分ほどで帰り着きましたが、体力のない子どもなら途中でパニックになると思います。
ともあれ、、、
伊豆大島で遊ぶなら、
・ 遊び場と宿泊先を近接する
・ 早朝に動き始めて、午後五時前には切り上げる。
・ 食糧と飲料水を購入できる場所を徹底的にリサーチする
事前にGoogle Mapで飲食店やスーパーの位置と開店・閉店時間を確認し、外食する場合、少なくとも前日には予約を入れましょう。
伊豆大島は観光地で、土日営業する代わり、平日に休業する店が多いからです。
伊豆大島に都会の常識は一切通用しません。
やっぱりレンタカーを借りたい
「車なしでは無理」という方にはレンタカーの利用を熱く推奨しますが、これまた予約の奪い合い(レンタサイクルも同様)、前日に思い立ってすぐに借りられるものではありませんので、少なくとも一ヶ月前にはリサーチすることをおすすめします。
伊豆大島 公式観光サイト『大島レンタカー協会加盟店』に各店の情報が出ています。
ちなみに、9月11日に検索した時点で、10月12~14日(週末)は残り一台みたいな状況です。
タクシーを貸し切る
どうしてもレンタカーを予約できない場合は、タクシーを借り切る方法もあります。
かなりのお値段がしますが、夜の海岸で途方に暮れるよりマシかと。
それでも何度でもリピートしたい
伊豆大島は非常に魅力的な観光地なのですが、 交通が不便 → 観光客が敬遠する → 客足が減って、ますます本数が減る → ますます客足が遠のく、という悪循環なのだと思います。
この距離でバス代数千円(家族四人)……
半泣きになりますよね。
それでも東京のすぐ近くに、こんな素晴らしい火山島があり、魚もいっぱい泳いでいる海水浴場は伊豆大島ぐらいだと思います。おまけに海鮮料理も美味い。
私も日本にいれば、何度でもリピートしたいぐらいです。
今後も観光インフラが向上して、日本の皆さんの身近なパラダイスになることを切に願っています。